ラルブレル駅から今度は本数の多いリヨンサン・ポール(Lyon Saint Poul)駅行電車に乗ります。この路線はリヨン市内ではメトロとの接続が良い手前のゴージュ・ド・ルウ(Gorge de Loup)駅を利用され人が多い様です。しかし、今回は徒歩で旧市街を訪れるため終点のサン・ポール駅まで乗りました。サン・ポール駅は電車が車止となっていますがこじんまりした駅です。

リヨン サン・ポール駅
ところで今回の旅行で印象深かったのは、ローカルで利用したフランスのTER(地域圏特急)がどの路線もスマートで綺麗な電車になっていることでした。昔この辺を電車で旅行した事がありますが、当時のローカル電車はそれなりに風情はありましたが、ディーゼルのずんぐり車両でどうみてもかっこいい車体ではありませんでした。それがずいぶん変わりました。路線によっては200km/hまで出るそうです。
ところで車内の座席はカラフルですがこの色使いは日本と異なりますね。車内照明の色合いも日本と違います。さっきまで見ていたコルビジェ建築の色彩装飾の方が私、いや日本人にはしっくりくるな、そんな感じを持つ中、電車はリヨンに向けてスピードを上げていきました。

旧市街での一番の目的は1993年にジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)により上部増築されたリヨンオペラ座を見ることでした。ソーヌ川を渡るとまさに旧市街の古い街並みになります.
その雑踏の中を進んでいくと格式のある市庁舎が見えてきました。市庁舎の前のテロー広場の噴水には、二日後訪れるベルフォールのライオンを作った彫刻家バルトルディ(Auguste Barthold)作で有名な馬車に乗った女神像が見えるはずでしたが、残念ながら修復中なのか塀に囲まれていて何も見えませんでした。

リヨン市庁舎
その市庁舎の横を更に進むとドーム型の屋根が加えられたオペラ座が見えてきました。この黒を基調とした金属とガラスのドームは、私にはヨーロッパに良くある鉄道の駅のドームを連想させました。地元では”オープントースター”とも言われているそうです。あまりもバランスよく収まっていてもう少し遊び心があっても良いのではと思えましたが、重厚さを保ち新しい空間を元の建物と良く融和しながら作り出していると思いました。そしてこのリノベーションされた一つの建物が回りのオープンスペースを介して周囲の古い街並みと調和しエリアを旨く再生していると思いました。

更にローヌ川を渡りパール・デュー駅の方に戻ります。ここパール・デュー地区は70年代よりビジネスエリアとして開発が注目されてきましたが、その中核、パール・デュー・タワー(Port Dieu Tour):1977年竣工が今でも健在なのを見て懐かしい限りです 昔は、ルヴィエールの丘から見ても目立つ高いビルはこの通称ペンシルビルといわれた円筒のビルだけでした。今回、周囲にTour Oxygene(2010年) やToue City(2015年)など肩を並べるような高層ビルが出来ているのを知りましたがやはりパール・デュー・タワーの存在感は他を圧倒していますね。なんといっても設計者がコルビュジエの影響を受けているといわれるコッスッタ(Araldo Cossutta)ですから!

Part Dieu Tower
リョン周辺で見てみたかった現代建築にリョン・サンテグジュベリ(Saint-Exupéry )TGV空港駅もありました。パール・デュー駅からは高速トラムでアクセスは良かったのですが、それでも時間が押して残念ながら今回は見学はあきらめました。ホテルに寄り荷物を受け取って予約していたパール・デュー駅17時過ぎ発のTGV6885でスイスのバーゼルに向かいます。
