フランス ル・コルビュジエと現代建築の旅

D-2.ラ・トゥーレット修道院 1

修道院の中に入れる事がハッキリし、ほっとして受付のそばから修道院の中庭を見渡します。写真でよく見る構図に、「今、ラ・トゥーレット修道院に来ているんだ!」と実感じます。そして眺めていると建物の下の方が気になってきました。それで中に入る前に少し周りを見る事にしました。

裏手の道を奥に進んでいくと、また建物の違った姿が見えてきます。斜面遠くではトラクターが草刈り機を引っ張り伸びた草を刈っていました。カタカタとその大きな音が周囲の森に響いています。そして小休止毎に静寂が戻ってきます。斜面の上の方はまだ雑草が伸びたままです。その雑草を掻き分けて建物の下を見学する為、小道を下りました。建物の下そして中庭へも入れます。修道院は結構傾斜のあるところに建っておりそれを長さが異なる四角や円柱のピロティが支えています。その斜面に自分の足で立てば建物がどの様な場所に建っているか良く分かります。

端の方では写生をされているグループを見かけました。何でこんな隅っこでと思いましたが、よく見るとそこにも絵になる建物の構図がありそうです。見るべきところを教えられました。

中央にある通路の下には斜めになった面白い形のピロティもありました。コルビュジエの遊び心でしょうか? でもなにか意味がありそうです。こうゆうの興味が沸きますね。

いよいよ3階にある入り口に戻り電子キーに番号を入れドアを開け中に入りました。人影もなくシーンとしています。もらった地図だけが頼りです。外観のイメージから一転して内部は白い壁にカラールングされたドアなど結構色彩豊かです。むき出しの配管にも色が付けれたれたものがあります。赤、青、黄色とはっきりした色使いですが、自然の光の中でその深みのある色合いは美しく見えます。これはコルビュジエが同時期(1959)発表したカラーキーボード(Architectural  Polychromy)の素晴らしさを正に表現しているのではないでしょうか。

正面に青いトアが見え、地図では”客間”とあります。見学可のエリアなのでそっとドアを開けます。

誰もいません。年代を感じさせるいろんな椅子とテーブルが並んでいます。いきなりプライベート空間に入った感じでもあります。大きな本棚が直ぐ目に止まりますが、その本棚の上の十分なスペースから天井がかなり高いことが分かります。廊下側の壁には換気を考えてか天井まで伸びた細長い赤い扉が間隔をあけてあり円柱と共にデザインを作っています。

 

そして中庭側には突き出た四角い小さな礼拝堂があり入ってみます。中に入ると天井のスリットから光がもれてきて礼拝堂を柔らかく照らして綺麗です。光は時間と共に変わるようです。直感的にル・トロネ修道院を感じます。

隣の客間とは隔離れた空間です。こうした神聖な空間と日常の空間が隣り合わせのところに、この修道院の様子が少し分かってきた様に感じられました。

 

小礼拝堂

部屋を出て居間を回り込む長い廊下を進みます。左は細長い水平連続窓です。右には先程の換気の扉が見えます。前方、角の窓にはコンクリート製の大胆な窓隠しのようなものが外についておりそちらが大いに気になりました。

気になる窓隠しのコンクリート

コの字に曲がった廊下の先には中庭に面してガラス窓とコンクリートパネルの組み合わせの壁が見えてきました。窓ガラスに”モンドリアン・パネル”の説明が書かれてます。

更にセミナー室の方に進みかけると、人の話声がしてきました。半分開いているドアの向こうには結構な人数の人が見えます。服装はまちまちで何かの会合でしょうか。突然日常の世界に戻った感じです。立ち止まっていてはいけないと感じ、引き返して階段を下り2階に向かいました。また静寂が戻ってきます

モンドリアン・パネルの説明書

この先がセミナー室、左が二階へ下りる階段