フランス ル・コルビュジエと現代建築の旅

B-5.エクス・アン・プロバンス

Château La Coste

この日は如何しても行きたいところに、コルビュジエがトゥーレット修道院を設計する上で参考にしたといわれる12世紀作られたル・トロネ修道院がありました。しかしそこはマルセイユから100㎞近く離れおりしかも接続の良い交通機関が見つかりません。そうした中,Webで現地の日本の方が運営されている”プロバンスカルチャーツアー”というところに希望に合った個人ツアーを見つけお願いする事にしました。さすが日本人のガイドの方だと日本人に合った情報をいろいろ教えていただけよかったです。そしてル・トロネ修道院に向かうとき近くを通るエクス・アン・プロバンス周辺の安藤忠雄や隈研吾の建築も昼食を兼ねて見てみませんかと勧められました。駆け足でしたが、時間的に一日ではとても無理と思われたところまで訪問が可能になり、その心配りに感謝すると共にお願いして良かったと思いました。

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ダリウス・ミヨー音楽院校舎 (Darius Milhaud Conservatory of Music

エクス・アン・プロバンス駅近くの一画に近代的な建築が見えてきます。その一つが隈研悟氏事務所設計の2013年建設のダリウス・ミヨー音楽学校校舎です。外観はアルミと思われる特徴のあるデザインで、金属と木材を織り込んだ構造が“オリガミ”とも言われているそうです。そしてこの建物の面白いのは斜面地にL字型に張り付くように建てられている事ではないでしょうか。内部のホールもすばらしいようでしたが、日曜日の為かひとけはなく入口は閉まっていました

 

ダリウス・ミヨー音楽院校舎

隣には同じく外観に特徴がある2006年に建設されたルディ・リッコティ(Rudy Ricciotti)によるPavilion Noir、向かいにはGrand Theatre de Provenceがセザンヌで有名なエトワ山をイメージしてあります。このプロバンスのオープンスペースにこれらの建物がうまく調和して姿を見せています。一方それらをつなぐ広場の直ぐ下を鉄道が通っています。あえてそんな場所を選んだ事にチャレンジャブルな再開発の意気込みを感じます。

このエリアはジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)によるセクシャルミラボー再開発地区(1990年)に含まれると思われます。

Pavilion Noir

Grand Theatre de Provence

40年近前になりますがフランスにいた時何度かエクス・アン・プロヴァンスは訪れています。当時もプラタナスの並木や噴水などいかにも南仏らしい赴きのあるいい街でした。久しぶりに訪れてみて今日洗練された近代的なエリアも加わってさらに魅力的な街に発展しているのがわかりました。街並みの再生がうまくいっているようです。建築に興味なくとも滞在してみたい街ですね。

 

シャトー・ラ・コステ(Château La Coste)

アクス・アン・プロバンスの郊外北15kmにあるワイナリーをベースに安藤忠雄氏がそこのアートセンターの設計をしたことで日本でも知られているのでないでしょうか。そのほかにも、フランクゲリーやピアノなどプリッカー賞を受賞された蒼々たる建築家の作品が20以上も野外展示されています。ただ周囲はワイン畑以外何もないところで田舎道をかなり走って山の中に作品が現れてきます。

車は安藤忠雄氏によるゲートを抜けて、景観維持の為でしょうかアートセンター下の地下駐車場に入ります。その駐車場からなじみのある造りのコンクリートの階段を上がっていくといきなり広いプールとプロバンスの自然が目に入ってきます。そして水面には ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgerois)作の巨大蜘蛛が今にも動き出しそうに見えてなかなかの演出です。

巨大蜘蛛も水を得て六本木にある物より生き生きとしているようです。

今回はテラス(La Terrasse)という野外レストランで昼食をとるのがメインでしたが、木漏れ日の中これぞプロバンスという雰囲気を満喫できてとても良かったです。ホテルもある様です。本当は宿泊して美味しい料理やワインを堪能しながら、ゆっくりアート作品を鑑賞するといいのでしょうね。交通の便が良くない為か、未だ日本の方はあまり訪れていない様で穴場ですね。

 

因みに車で行けない場合は、エクス・アン・プロバンスから260番の路線バスに乗って約35分、隣町のLe Puy Sainte Reparadeに入る手前のバス停で下車、予め一時間前にシャトーに連絡しておけばそこまでシャトーのミニバスが迎えに来てくれるそうです。シャトーのミニバス連絡先:+33 442618998(英語可)エクス・アン・プロバンス周辺のバス時刻表はiPhoneアプリがあります。(旅行情報サイト”Marvallious Provance”より)

 

La Terrasse (Château La Coste)